オレはさまよっていた。


オレはさまよっていた。

夜の街を。

女のケツを求めてさまよっていた。

ひどく億劫だった。

億劫で億劫で億千万の億劫だった。


あまりの億劫はさまようことを体にさせる。

夜の街には何もないことはわかっている。

けど、自分の中にも何もない..

ことの恐怖がさまようことをさせていた。


夜の街で、ダンボールを敷いて、ビールケースをテーブル代わりに囲んでいる集団があった。

言葉を話せない人たちらしい。


手話で会話していた。

その人たちをゆっくり歩きながらゆっくり観察していた。


次の日も、またそこで飲んでいた。

なぜか、懐かしい感じを覚えた。

自分にないものがそこには広がっているような気がした。


その人たちがとてもイキイキしてるように見えた。

言葉を話せる自分にはない輝きを感じた。

ないからこそ、あるものがある。


そしてその輝きはとても力強く映った。

川を遡るサケ?じゃないけど、

1つの1つの手の形に今の全てが凝縮されたような切迫さがあったような気がした。

今という川を遡るような力強さがあった。

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